どうして歯石取りって何回も通わないといけないの?
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こんにちは、院長の中村ケンタロウです。
今回はよく患者さんに質問される
「どうして歯石取りって何回も通わないといけないんですか?1回で全部取れないんですか?」
という疑問に答えていきたいと思います。
まず、なぜ歯石を取らないといけないのでしょうか?
私たちはよく「歯周病の原因になるのが歯石なので、歯石を取らないといけないんですよ。」と言います。
普段はこのように説明していますが、実は歯石は直接の歯周病の原因ではありません。
えっ?私騙されてたの??
そういうわけではありません。
実は歯周病の原因はプラーク(歯垢)中の歯周病菌であり、歯石は歯垢が唾液中のカルシウムなどにより石灰化したもので、歯石自体に病原性はないと言われています。
しかし、歯石はデコボコしていて、プラーク(歯垢)が付きやすく、歯石の周りには歯周病菌がたくさんいますので、結果として歯周病の原因になるのです。
要するに、歯周病の治療のためには歯石を取らないといけないということです。
「歯石は自分で取れないの?」
取れません。歯石は歯ブラシでいくら強く磨いても取ることはできません。歯石を取る専用の器具・器械を用いて除去します。
「一回で歯石を全部取れないの?」
これは人によります。というより歯石の付いている量によります。
まだ、10〜20代でそこまで歯石が付いていなければ1回で全部取ることができます。
また、定期検診で来られている方も1回で全部取ることができます。
しかし、歯医者に何年も行ってなくて、たくさん歯石が付いている方は歯石取りに6~8回かかります。
結局歯石取りの回数は歯石の付いている量によるのです。
ですので何回も歯石取りに通っている方は、それだけ今まで歯医者に行っていなくて歯石がたくさん付いているのです。
ですので、歯石取りを途中でやめてしまった場合は当然歯石がまだ歯についていて、今後また何度も歯医者に通わないといけなくなります。
仕事が忙しくて何回も歯医者に通えない方もいると思います。
歯石は取らないといけませんが、1,2ヶ月で全て取らないといけない訳ではありませんので、1ヶ月に1度でも良いですので、忙しい方は少しずつでも継続的に歯石を取ることをオススメします。
そして全て歯石を取った後は、しっかり歯磨きをすればそんなにすぐ歯石がつくわけではありませんので、あとは定期検診で1回で全て歯石を取ってもらえばいいのです。
次に歯石取りの流れについて説明します。
もちろん歯石取りは保険治療で行います。
しかし、保険治療で行うため厚生労働省が定めた治療の流れが決まっています。
<歯周病の治療の流れ>
まず、お口のレントゲン(X線)を取って、歯の周りの骨(歯槽骨)が下がってきていないかなど、骨の状態を確認します。
次にお口の写真(口腔内写真)を撮って、今の歯ぐきの状態をチェックします。
それから歯周病検査を行い、今の歯周病の状態をチェックします。
ここまで行うと、今の歯周病の状態や歯石の量がほぼ分かります。
この情報をもとに歯周病の治療計画を立てます。
プラークコントロールとは、きちんと歯磨きができるようにすることで歯科衛生士が歯磨き指導を行います。
歯石は歯肉縁上歯石と歯肉縁下歯石の2種類に分けられます。
歯肉縁上歯石とは、歯ぐきより上にある歯石で、口を開けた時に見える歯石です。色は白や黄色で、そこまで強く歯にくっついていません(もちろん歯ブラシでは取れませんが)。
歯肉縁下歯石は、歯ぐきの中に隠れている歯石で、口を開けても見えません。色は黒っぽくて硬いです。歯に強固にくっついてなかなか取れません。
スケーリングとは縁上歯石を取ることです。
縁上歯石がそこまで付いていなければ1度に全ての歯石を取りますし、たくさん縁上歯石が付いていれば、上の歯と下の歯の2回に分けて歯石を取ります。
縁上歯石を取ると見た目上の歯石はなくなり、歯磨きをきちんとすると歯ぐきが引き締まってきます。
そして歯周病の状態が良くなったか2回目の歯周病検査をします。
縁下歯石がなく、歯周病の状態が治癒していれば、歯石取りは終わりです。
もし2回目の歯周病検査で縁下歯石があれば、数回に分けて縁下歯石を取ります。
縁下歯石を取ることをSRP(スケーリング・ルートプレーニング)といい、歯石が付いていたところを滑沢にします。
この歯石取りは大変難しく、歯科医師や歯科衛生士の技量によるところが大きいです。ケンタロウ歯科の歯科衛生士は訓練を積んでおり、きちんと歯石を取ることができますが、歯科医院によってはきちんと歯石が取れていないところも、、
なぜ難しいかというと、直接歯石が見えないからです。
ですのでレントゲンを見て歯の形態をイメージし、熟練の技で歯石を取っていきます。
あとは歯科医師が取れているか確認し、場合によってはレントゲンで歯石の取り残しがないかをチェックします。
縁上歯石は1~2回で取るのですが、縁下歯石は歯に強固に付いているため1度に歯石を取る歯の数は4〜6本になります。
歯は親知らずを除いて28本あるのですが、全ての歯に縁下歯石が付いていれば、計6回(上右・上左・上前・下右・下左・下前)に分けて歯石を取ります。
縁下歯石を全て取り終わり、歯磨きを継続してきちんと行うと、さらに歯ぐきが引き締まってきます。
そして歯周病の状態が良くなったか再度確認するため、3回目の歯周病検査(再評価検査)を行います。
基本的にはこれで歯石取りは終わりになります。
しかし、歯石がたくさん付いている方はまだ歯石が残っていることもあります。
中にはこんなにたくさん歯石が付いている方も。
こういったケースでは、再度歯石を取る(再SRP)こともあります。
また、歯周外科手術を行うこともあります。
ここまで読んでいただいた方は歯石を取ることがそんなに簡単じゃないこと、なぜ何回も通わないといけないかが分かっていただけたと思います。
歯石を取っている間はまだ終わらないのか、と長く感じる方も多いのですが、ご自身のお口のために、これからもずっと自分の歯で食事をすることができるようにするために最後まで歯石取りに通ってください。
ケンタロウ歯科 福岡市南区柏原1-2-2 / Tel 0120-37-1815