タバコと歯周病の関係
- 歯周病
歯科衛生士の前田です。
「一生吸い続けますか?」
皆さんタバコの全身への害はよく知ってらっしゃると思いますが、お口への害も様々あることをご存知ですか?
喫煙すると歯の表面にヤニがつくだけでなく、口腔がんの発生率が増加するなど悪い影響がたくさんあります。
タバコには4000種類以上の化学物質が含まれ そのうち40種類は発がん性物質といわれています。
(国立がん研究センター 予防研究グループ)
タバコの三代有害物質
「ニコチン」‥‥依存性が強く、禁煙しようと思ってもなかなかやめられない。
「タール」‥‥いわゆるヤニで歯が黒くなるのはこのタールによるものです。強い発ガン性があり、住居の壁が黄ばんだりベタベタしたりするのもタールによるものです。
「一酸化炭素」‥タバコは低い温度で不完全燃焼するため一酸化炭素が発生します。一酸化炭素は血液中のヘモグロビンと非常に強く結びつきます。普通ならヘモグロビンは酸素と結びついて、体中に酸素を運搬する働きをするのですが、一酸化炭素と結びつくと体への酸素供給が妨げられます。
その結果 タバコを吸う人特有の肌の老化が起こります。
これを「スモーカーズフェイス」と言います。
【喫煙している人の歯ぐきの特徴】
タバコを吸っている人の歯ぐきが暗い紫色になっているのを見たことがある人は多いかと思いますが、これはニコチンの毛細血管収縮作用と一酸化炭素が原因です。
ニコチンの血管収縮作用により、組織の血行は悪くなります。また、一酸化炭素がヘモグロビンと結合することで、血液の色自体もどす黒くなります。
このような理由で歯ぐきは健康なピンク色ではなく、暗い紫色になります。
メラニン色素の沈着も強く認められ、辺縁歯肉がロール状に肥厚し繊維性でゴツゴツとしています。
【喫煙による歯周病悪化】
喫煙の歯周病への影響は大きく 3つあります
・かかりやすい
・気がつきにくい
・治りにくい
の3つです。
生体の本来の免疫機能が喫煙により妨げられるため、歯周病にかかりやすくなります。
歯周病になると歯磨きの時に出血して歯ぐきの腫れに気付くことがあるのですが、ニコチンの血管収縮作用により炎症症状が隠されるため、歯周病が進行しても出血などの自覚症状が出にくくなります。そのため発見が遅れてしまい、気付いたら重度の歯周病になっていたということがあります。
治療を始めてもタバコを吸っている人の歯ぐきは硬くて沈着物の除去が難しく 歯周組織の修復も阻害されているため思うように治療効果が上がらないのです。
【禁煙のメリット】
お口の中が健康を取り戻します。
歯周病のリスクも低下します。
禁煙直後は一時的に歯ぐきの出血が増えることもありますが、これは正常な反応です。ニコチンの血管収縮作用がなくなるためです。
また、歯ぐきの赤みや腫れなども増すかもしれませんが、一時的なものなので心配しないでください。プラークコントロールがきちんとできていれば治まってきます。
禁煙を継続すれば歯ぐきは健康なピンク色になり、みずみずしさを取り戻します。
メラニン色素の沈着も薄くなっていきます。
【喫煙率の減少】
タバコを吸う人は年々少なくなってきています。
タバコ産業の「2018年全国たばこ喫煙者率調査」 によると成人男性の平均喫煙率は 27.8% でした。
これは昭和40年以降のピーク時(昭和41年) の83.7%と比較すると約50年間で56ポイント減少したことになります。
日々の診療でもタバコを吸ってらっしゃる方は昔に比べて随分減ったなぁと感じています。
私はタバコを吸いませんので禁煙をすることがどれだけ大変かは身を持って感じることは出来ません。
それでもたくさんの患者さんのお口の中を毎日見させてもらっている中で、タバコを吸っている人と吸っていない人の歯ぐきの違いがわかっている立場として禁煙をお勧めします。
長年タバコを吸われている方は今ご自分のお口の中の状態を知ることが大切です。
ずっと歯医者に行っていないなぁという方は一度歯周病検査を受けてみてはいかがでしょうか。
ケンタロウ歯科 福岡市南区柏原1-2-2 / Tel 0120-37-1815