お口の中の細菌について
- 歯のコラム
こんにちは、歯科衛生士の前田です。
皆さんは歯医者さんに行って、先生や衛生士さんから
「お口の中には何億ものむし歯菌や歯周病菌が潜んでいます。しっかり歯を磨きましょう。」
と言われた事があるかと思います。
私も歯周病の説明をする時に患者さんによく言っている言葉です。
この細菌のことを言う時にふと思い出す事があります。
私が歯科衛生士の専門学校で授業を受けていた時に言った先生の
「口の中の細菌はね しもの細菌より多いんだよ! 口の中はね汚いんだよ〜」
と言う言葉です。
”げ〜〜〜”
と思った事を覚えています。
お口の中の細菌は 約30億(肛門の細菌数より多い)とも言われます。
種類は未発見種もあり、分からない程に多いのです。
・よく磨く人の口腔内細菌数
1000〜2000億個
・あまり磨かない人の口腔内細菌数
4000〜6000億個
・ほとんど磨かない人の口腔内細菌数
1兆個
口腔内細菌は睡眠後3時間すれば爆発的にその数が増えていき、約8時間で細菌数は飽和状態に達します。
起床直後の唾液1ccの細菌数は、おおよそ糞便1グラムの10倍量と考えられるので
起床直後はうんこ10グラム量の細菌がいる
と考えるとわかりやすいでしょう。
ですので、歯磨きが嫌いな方も最低でも寝る前だけは必ず歯磨きをするようにしてください!!
菌と呼べばみな同じに聞こえますが その種類は全く違います。
口の中には700種類以上の常在菌
肛門には100種類以上の大腸菌
現在 お口の中に生息する細菌の種類は700種類いるといわれています。
これを“口腔内常在菌”といい、私たちの口の中に住み着いている細菌のことです。
口内フローラという言葉をご存知でしょうか?
腸内フローラという言葉は聞いたことがある方も多いと思います。
フローラとは細菌の集団のことで専門的には細菌叢(さいきんそう)と言い、口内フローラとはお口の中の細菌の集まりのことです。
その中には善玉菌、悪玉菌、日和見菌が混在 しています。
口腔は外界と接するため、口腔内の常在菌には人に悪影響を及ぼす微生物の侵入を防ぐ働きがあると考えられています。
ですので口の中の菌が全て悪いわけでは決してありません。
しかし、食生活が乱れたり、歯磨きをしないでいるとどうなるでしょうか?
人の口の中は、通常37度前後に保たれており、唾液によって潤っています。
そこに食事の後の食べかすがとどまっています。
このように 温度・湿度・栄養 の3条件が揃っている口の中は 細菌が繁殖するには最適な環境と言えます。
つまり、歯磨きをしないと細菌に沢山栄養が与えられ、常在菌の繁殖が進みます!
細菌の繁殖が進んでしまうと、口内フローラが崩れ、唾液の抗菌作用だけでは勝てなくなります。
このようにして起こる細菌による感染症が “むし歯” や “歯周病” です。
【口腔内細菌で注意すべき細菌】
・むし歯菌:ミュータンス菌
歯垢から検出される菌で、むし歯の原因になると言われています。
・歯周病菌:ポルフィロモナス・ジンジバリス菌
この菌は吸血鬼のように血液をエサにしています。
そして吸血鬼は 日光が苦手なように酸素が苦手です。
歯ぐきの中で感染することによって歯周病を引き起こします。
中等度の歯周病になっている患者さんの場合、歯周ポケット周辺の炎症の総面積は、「手のひらくらいの大きさ」(歯周ポケット5ミリ範囲の炎症×28本=72平方センチ)といわれています。
つまり歯周病の人は手のひらサイズの炎症が口の中にあるということです!
もし顔に手のひらサイズの炎症があれば、普通は放ってはおかないはずですよね?
また、口腔内の常在菌はだ液とともに飲み込まれて上気道や消化管へ移動し、口腔内以外の部位でも定着していくメカニズムがあり、全身の健康に影響があることもわかっています。
特に歯周病菌は血管を通じて体全体を巡り、各臓器に侵入・繁殖し、さまざまな病気の原因になっていることがわかってきました。
例えば 動脈硬化・脳梗塞・心筋梗塞・糖尿病・誤嚥性肺炎なども歯周病菌と大きく関係しています。
口の中の清潔を保たなければ、全身的な健康をおびやかすことになりかねません。
適切な口腔ケアによって、口内フローラは良好に保つことができます。
口腔ケアの中でも歯磨きは特に大切です。
きちんと歯磨きをして口内フローラのバランスを整えましょう。
健康な体は健康なお口から!!
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